鬼剣舞とは

由来

岩手県北上市の周辺に伝わる「鬼剣舞」は正式には「念仏剣舞」の一つですが、鬼のような面をつけ勇壮に踊るところから「鬼剣舞」と呼ばれ、親しまれています。

大宝年間(701〜704年)に修験の祖・役の行者小角が念仏を広めるために、念仏を唱えながら踊ったのが始まりという説や、大同年間(806〜810年)に羽黒山の法印・善行院荒沢鬼渡大明神で悪霊退散・衆生済度の念仏踊りとして伝えられたのが始まりともいわれています。


踊り

岩手県北上地方に伝わる民俗芸能、鬼剣舞は数百年前から口伝、体伝で伝わる民間伝承で、現在、日本はもちろんの事、世界でも大変評価の高い踊りの一つです。日常生活の中から出てくる自然な身体の動きを含め、地面を踏みしめて、強い足腰のバネ、上体のハリとゆるみが自然と使いこなされています。


お囃子と構成

通常、お囃子は太鼓1人、手平鉦(てびらがね)1人、笛2〜4人で構成され、踊り手は8人1組を基本としながら、演目によって1人、2人、3人、4人などに変わります。他にカッカタ(道化面)、晴衣の少年(または少女)の胴取りがつくのが本来の姿とされています。


8 人の踊り手のうち、1人が白面、ほかの7人は青・赤・黒の「阿(あ)口が開いている」と「吽(うん)口が閉じている」の面をそれぞれつけます。各色は四季・方位を示すとともに悪魔を降伏させ人々を救済する「仏(明王)」を表わしています。

「鬼」ではなく「仏」であるため、面には角がありません。この他、カッカタは、大日如来(不動明王)の化身で黄色の面をつけます。